【参考資料】『荒木飛呂彦の漫画術』 著者:荒木飛呂彦先生

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漫画原作を制作する上で参考になる書籍として、『ジョジョの奇妙な冒険』で有名な荒木飛呂彦先生の書いた『荒木飛呂彦の漫画術』を紹介します。

荒木飛呂彦先生は、漫画に必須なものとして「ストーリー」「キャラクター」「世界観」「テーマ」を上げていて、この4つを漫画の「四大構造」と定義しています。

ちなみに重要度も、この順番になります。

1)キャラクター

荒木先生は特にキャラクターを重要視していて、

魅力的なキャラがあれば、他がなくてもOK

とまで言っています。(他にも、強力なキャラクターは『連載のカギ』ともコメントしています)

魅力的なキャラクターの作り方

魅力的な主人公を作るには、まずは主人公が行動する『動機』が必要です。

この動機は主人公の基本的な欲望に基づくもので、2つの条件があると言っています。

一つは「正しい事」であること(友情・努力・勝利など)で、もう一つは「勇気」があることです。

また、具体的なキャラクター設定の方法として、荒木先生はキャラクターの履歴書に当たる「身上調査書」を作成しているそうです。

この「身上調査書」には、キャラクターの外見、弱み、過去、考え、性格、スキル、趣味、特技や尊敬する人などが書かれていて、この調査書を作ることで、話が進むにつれて起きやすい「設定の矛盾」が起きない事と、「キャラクターがブレない」というメリットがあると荒木先生は言っています。

特に主人公などに「弱み」を設定することで、その弱みを克服するために努力をし、それが魅力になることでキャラクターに立体感が出るとの事です。

2)ストーリー

「名作」の条件として、キャラクターとストーリーの融合が重要との事で、魅力的なキャラクターだけではヒット作になるかもしれませんが、名作にはならないとの事です。

他の漫画原作の本などでは『起承転結』に加えて、雅楽や能楽、連歌などの構成概念である『序破急』なども言及されていますが、荒木先生の重視するストーリーの基本構成は、『起承転結』だそうです。

プラスとマイナスの法則

荒木先生の考えるストーリーの構成要素として『プラスとマイナスの法則』があります。

『まずゼロの線があるとして、そこを基点に、主人公の気持ちや置かれている状況が上がっているか、下がっているかを考えます』

そして「主人公は常に『プラス』でなければならない」とも言っています。

これはストーリーのマイナスとプラスを天秤にかけると、常にプラスになるように話を展開させないといけないという意味です。

そしてそのマイナスの局面を、どうやってプラスにするのかが『アイデア』だと荒木先生は言っています。

第一部のエンディングで「ジョナサン・ジョースターの死」という大きなマイナスがありますが、これを「ジョースターの血統が受け継がれる」というプラスを持ってくることで、トータルでプラスになるエンディングを採用していると説明しています。

例外として、『ジョジョの奇妙な冒険』の第一部の最初(3話目くらいまで)は、ジョジョがディオに一方的にやられていましたが、それは評価が下がるのを覚悟のうえで描いていて、そのマイナスが大きかった分、プラスの効果も大きくなる事を計算して書いていたそうです。

連載当時は『この後、プラスになるので待っていてください』と念じながら毎週描いていたと、この本に書いています。

現在の出版不況では、3週も低迷が続いていれば連載打ち切りの話も出てくると思いますが、まだそこまで厳しい時代ではなかったからこそ、あの名作が生まれたんですね。

キャラクターが勝手に動く?

荒木先生は、『しっかりとキャラクターが出来ていれば、主人公を困難な状況に陥れるだけで、勝手にキャラクターが動いてくる』とも言っています。

これは『バクマン。』のに出てくる主人公のライバル、新妻エイジが『好きなキャラは勝手に動きます。動かしたくなって、どう動くか自分でも楽しみで止まらなくなる。そうじゃないです?』(第19話)と言っているのと同じ事だと思います。

3)世界観

『読者は世界観に浸りたいと思っている』と荒木先生は言っています。

その『リアル感』を出すために、調査と取材で補う必要があります。

荒木先生も『スターダスト・クルセイダース』の原稿を書くために、実際にエジプトまで取材旅行に行っています。(これは書籍ではなく漫画のコラム欄に書いていました)

4)テーマ

4番目の構成要素として「テーマ」があります。

この「テーマ」は、他の3つをつないだもので、ストーリーや世界観をぐらつかせないためにあります。

また、『作者の哲学』を表しているものでもあり、『売れるテーマよりも書きたいテーマ』を描くことが重要だと荒木先生は言っています。

まとめ

荒木先生曰く、この本は『漫画の王道を行くための本』で、荒木先生自身も、

僕自身は「『ジョジョ』は王道漫画だ」という自信を持って描きつづけてきました。

とコメントしています。

また、『地図を携え、王道を行け』とも言っています。

実際に、この書籍の内容は漫画の王道をとらえた内容になっていると思います。

これだけ充実した内容が、わずか842円で手に入るのは本当に驚きです。

漫画家志望の方や漫画原作者志望の方は、一度読んでみることをオススメします。

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