【イベントレポート】島本和彦 炎の原画展 Ver.3 トキワ荘編 / 2024年12月7日

2024年12月7日からトキワ荘マンガミュージアムで開催されている「島本和彦 炎の原画展 Ver.3 トキワ荘編」に行ってきましたので、そのレポートです。

開催概要

【東京】島本和彦 炎の原画展Ver.3トキワ荘編 /2024年12月7日~2025年3月23日
豊島区にあるトキワ荘マンガミュージアムで、島本和彦先生の原画展が開催されます。 この原画展は、2023年4月に有楽町マルイで開催され、次に今年(2024年)の6月に兵庫県にある手塚治虫記念館で開催された展示会の3回目の開催になります。 来場...

来場特典

■缶バッジ
全10種の中から1つランダムでプレゼントされます。

告知ポスター

トキワ荘(2階)での展示内容

撮影スポット
島本先生と手塚先生が握手しているシーンのパネルと島本先生のビデオメッセージを放映しているテレビが、トキワ荘の一室で展示されています。
真ん中のちゃぶ台の座布団に座って記念撮影をすることが出来ます。

島本先生と手塚先生のパネル

島本先生のビデオメッセージ
島本先生が、トキワ荘への思い入れなどを語ってくれています。

記念メダル
トキワ荘2階の展示スペースで、空室(漫画家の入っていなかった部屋)に記念メダル販売機を置いて販売しています。
今回の企画展用に作られた「アオイホノオ」バージョンの記念メダルが購入できます。
刻印用の機械がこの横に置いてあり、メダルを購入すると無料で日付、名前などを刻印する事が出来ます。

特別企画展会場
トキワ荘マンガミュージアムの1階にある特別企画展会場で、島本先生の原画が展示されています。
特別企画展会場の入ってすぐの企画展挨拶と島本先生のプロフィール、「熱血漫画家十訓」は撮影可能でしたが、その先は全て撮影NGでした。

特別企画展(1階)での展示内容

展示物はカラー原画と生原稿、マンガ製作用の資料類、そして島本先生が大学時代に撮影した映画の中から島本先生の出演している個所を切り抜いた映像が放映されています。
会場に入ってすぐ右手に、大学時代に撮影した映像が流れていて、刑事ものらしく島本先生がスーツを着て演じていました。
プレートの記載は「5人は殺し屋」と「決戦!大龍神」。「ワンダーマスミ」は無かった・・・(当然ですが本名の「手塚秀彦」名で出演してました)

その次にはカラー原画がまとまって展示されていて、さらにその先にはモノクロ原画の展示スペースでした。
原画はデビュー作から現在連載中のタイトルまで、ほぼ時系列でタイトル別に展示されていました。(基本的に1話の冒頭部分)

追加展示物
これまで2回の原画展(有楽町マルイ、手塚治虫記念館)では展示されていなかった、手塚治虫先生の作品を原作とした「マグマ大使」や、石ノ森章太郎先生が1970年代に描いた「スカルマン」の続編にあたる、島本先生版「スカルマン」の直筆生原稿も展示されています。
また島本先生が、トキワ荘マンガミュージアムと同じ豊島区に本店のある「アニメイト」のPRキャラクター「アニメ店長」のキャラクターデザインを担当していることから「アニメ店長」の原画展示も行われています。

カラー原画

どれも美しく、本当に素晴らしい作品でした。
一番最初に展示されている「炎の転校生」のカラー原画(跳び蹴りしているシーン)は、最後に展示されている「風の戦士ダン」の「静」に対して「動」という感じで、最初からハートをわしづかみされた気分でした。

必殺の転校生

島本先生のデビュー作です。
当時19歳とは思えなくらいの完成度です。
「アオイホノオ」の8巻で、学園物を描こうと決めたが教室が描けないのでどうするか悩んでいて、教室を描かずにすむために校門を入るとリングがあって主人公が戦いに巻き込まれれば教室を描かずに済むと気づく話があるので、「アオイホノオ」を先に読んでいると何倍も楽しめるのではないかと思います。(「アオイホノオ」は「この物語はフィクションである。」と最初に毎巻書かれているので、どこまで事実かは不明ですが)

風の戦士ダン

「男組」「美味しんぼ」などで有名な雁屋哲先生原作の、島本先生連載デビュー作です。
これも「アオイホノオ」で、雁屋先生の原作内容に勝手にギャグを入れたネームにする話などもあり、それを知った上で見るとさらに楽しめると思います。

炎の転校生

島本先生オリジナルの初連載タイトルです。
オリジナルデビューに燃えてか、線にこれまで以上の勢いを感じました。

逆境ナイン

この作品の原稿から、アミカケやスクリーントーンの番号記載など、アシスタントへ指示出しの青鉛筆の記載が多く見られました。
そう思って以前の作品の原画を見直すと、青鉛筆での記載は無いので「あぁ、デビューから間もない頃は、先生がメインで描いていたのだなぁ・・・」と感嘆の思いで見ていました。(この辺も「アオイホノオ」にあります)

燃えよペン

背景の集中線を描くために、炎尾燃がいかに犠牲を払っているかが分かる1話の冒頭部分です。
漫才のようなお笑いを漫画で読んでいる気分になります。
背景の集中線はマンガだからこそできる表現なので、そこに目を付ける島本先生は「本当にすごい!」と感じました。

アニメ店長

アニメイトのPRキャラ「アニメ店長」のキャラデザは島本先生がやっているのは知っていましたが、マンガになっているのは知りませんでした。アニメイトで無料配布される情報誌に連載されていたようですね。
しかし原稿を見ていると、なぜかデジャブが・・・
そして気づきました。キャラクターは異なるものの、コマ割りと構成が「逆境ナイン」と全く同じだという事に(笑)
構成自体をギャグにするなんて、さすが島本先生・・・

アオイホノオ

この頃になるとセリフが全てデジタルで入稿されるため、昔のような写植(セリフを印刷し、のり等で貼り付ける)は無くなってました。
なので(吹き出しはあるのに)セリフが一切入っていなく、無音の世界になったような感じになっています。(原画の下に完成原稿のコピーがあるので話はわかりますが)
「セリフの鉛筆書きも消してしまうのか・・・」と思いましたが、今回の展示物だけかもしれません。(他の原画展では、鉛筆書きが残っている作品もあったので)

スカルマン

石ノ森章太郎先生が1970年代に描いた「スカルマン」の続編にあたる作品です。
冒頭からリスペクトする石ノ森章太郎先生の作風をイメージしたコマ割りで、「本当に石ノ森先生が描いたのでは?」と思うような感じになっています。(マスクをかぶっていて、顔が見えないのもありますが)

マグマ大使

全話一括展示の大盤振る舞いでした!
「スカルマン」と同じく、手塚先生のマンガで出てきそうな演出から冒頭が始まります。(火山の噴火)
手塚プロ公認で作成されたもののようで、手塚先生のご息女、手塚るみ子さんも猫耳を付けて出てきます(笑)
しかしあのマグマ大使を、ここまで人間と同じ感情を持ったキャラ&話の展開をギャグに出来るものだと感心しました。
手塚治虫全集の「あとがき」がマグマ大使の行動の引き金になるなど、島本先生の手塚作品への愛を感じられる一作です。
個人的には「火の鳥」のロビタが出てきたのが嬉しかったです。一瞬でしたが(笑)

まとめ

これで500円は安い!と思いますので、島本和彦先生の作品に興味のある人は(それほどでもない人も)、是非行くべきだと思います。

豊島区立 トキワ荘マンガミュージアム
昭和を代表するマンガ家たちが若手時代に暮らした木造2階建てのアパート「トキワ荘」。その外観・内装等を忠実に再現した、「マンガの聖地としま」の発信拠点となるミュージアム「豊島区立トキワ荘マンガミュージアム」の紹介ページです。
タイトルとURLをコピーしました