アマゾンが8月3日からサービスを開始した、電子書籍の読み放題サービス「Kindle Unlimited(キンドル・アンリミテッド)」で、小学館や講談社など大手出版社とトラブルになっています。
「Kindle Unlimited(キンドル・アンリミテッド)」とは?
「Kindle Unlimited(キンドル・アンリミテッド)」とは、アマゾンジャパンが2016年8月3日から開始した電子書籍の読み放題サービスです。
月額980円で電子書籍が読み放題になるサービスで、12万冊以上のコミック・小説・雑誌、120万冊以上の洋書が読み放題になります。
海外では2014年にアメリカでサービスが開始され、イギリスやフランスなどで先行してサービス開始していましたが、日本では大手出版社との調整に時間がかかり、アメリカの2年遅れでサービスを開始しました。
Kindle Unlimited(キンドル・アンリミテッド)
トラブルの内容を3行でまとめると?
1)講談社は「キンドル・アンリミテッド」で同社の全ての作品が、読み放題のリストから外れたことに対して抗議文を発表した。
2)講談社だけでなく、小学館などの他の出版社の作品も読み放題の対象から外れている。
3)アマゾンは「キンドル・アンリミテッド」のサービス開始後1週間で、出版社への通告なしで、作品の一部を読み放題の対象から外していた。
詳細はこちら(日経新聞Web版)
電子書籍に積極的でない出版社が取り下げるなら分かるのですが、Amazonが勝手に取り下げたのは意外ですね。
なぜなんでしょう?
Amazonが勝手に取り下げた理由は?
複数の出版社からの情報によると、アマゾンは年内に限って出版社に対して通常よりも上乗せ料金を支払う契約になっていたそうです。
それは、「Kindle Unlimited(キンドル・アンリミテッド)」のサービスを成功させるためにも、サービス開始の最初から豊富なタイトルを取り揃えて、ユーザーの囲い込みを目指したためと思われます。
そしてアマゾンの思惑通り、多くの出版社の人気コンテンツなどが多数集まったのですが、そこにアマゾンの落とし穴がありました。
複数の情報筋によると、アマゾンの契約内容は書籍の最初の10%が読まれると1冊分の金額が支払われるとの事で、海外では雑誌や小説・実用書がベースなので、1人あたりに読める本の数は限られていたので、サービスの採算がとれていました。
しかし日本では短時間で読めるコミックが多く、また雑誌などもじっくり読まずに流し読みするユーザーが多く、アマゾンが当初想定していたペースをはるかに上回る利用があったため、開始後わずか1ヶ月間で半年分の予算を食いつぶしてしまったそうです。
それに焦ったAmazonは、各出版社に契約条件の変更を申し入れたそうですが、出版社側としてはドンドン本が読まれて受け取る金額が増えていて、さらに割り増し料金までもらえる契約なので変更に応じるわけがありません。
その結果、Amazonは読まれやすい人気作品を読み放題の対象から大量に外すという対応に出ました。
そして「Kindle Unlimited(キンドル・アンリミテッド)」には、人気作がごっそり抜かれた12万冊近くの本と、日本人の8割くらいが読む気も起らない120万冊の洋書が残りましたとさ。。。
まとめ
このまま削除されたままだと、関係者のだれも幸せにならない結末になります。
Amazonは儲かっていないのに、出版社にはお金を払わないといけない。
出版社は、良く読まれる作品が対象ではなくなり、見込んでいた金額よりも低い金額しか受け取れない。
そして何よりもいちばんの被害者は「読者」です。
12万冊の人気コミックを読もうようと思って月額980円払って参加したにも関わらず、読みたかった本がドンドン対象から消えていき、別に読みたくもない本が大量に本棚に残っている状態なのですから。
それにしても、ユーザーを呼び込める人気作品を先に消していく、というのは今までにないパターンのトラブルで珍しいですね。
なんとか話がまとまって、元の様に人気タイトルが読めるようになれば良いのですが。。。