GROUPON(グルーポン)が日本撤退を発表。共同購入型クーポンが下火になった3つの理由

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共同購入サイトの「GROUPON(グルーポン)」が、本日(2020年9月28日)、日本を撤退すると発表しました。

サイトではすでにチェットの販売終了告知を掲載しています。
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有効期限が2020年12月28日以降のクーポンは、12月27日までに使用するように促す記載がありますが、2020年12月28日以降が有効期限のチケットを使用しなかった場合は、購入時の決済手段を介して返金に応じるとの事ですので、少しでもチケットを使用するように、現時点では記載していないようです。

おそらくソーシャルゲームのサービス終了時と同じように、12月28日以降はサービス終了の告知と、有効期限内のチケット保有者が返金請求するためのページへのリンクを設置するものと思われます。

GROUPON(グルーポン)のビジネスモデルについて

GROUPON(グルーポン)といえば、2010年8月にサービス開始し、その直後にあたる2010年年末に「スカスカおせち事件」が発生して、悪い意味で非常に認知度の上がったサービスです。

元々は「フラッシュマーケティング」と呼ばれるサービス形態の1つになります。

フラッシュマーケティングとは、24時間から72時間程度の短期間に大幅な割引や特典を付けて販売し、短期間での売り上げ増加や、今後の常連客になる可能性のある見込客を集めるために行われるサービスで、Amazonが毎日開催している「タイムセール」もフラッシュマーケティングの一種になります。

GROUPON(グルーポン)の場合は、日本でも古くからあった「共同購入」という、多くの人が購入する事で購入単価を安くするシステムをフラッシュマーケティングに適用し、一定のユーザー数が集まる事で、記載している安い価格で商品を購入する事が出来るという新しいビジネスモデルを導入しました。(「グルーポンモデル」と海外の一部では呼ばれています)

このグルーポンの手法は、日本では「共同購入型クーポン」と呼ばれ、多くのサイトが追従して似たようなビジネスモデルのサービスを展開しました。

例えば、リクルートの子会社リクルートライフスタイルの運営する「ポンパレ」(※2018年12月12日サービス終了)やGMOインターネットの運営する「くまポン」などがあります。(他にも「LUXA(ルクサ)」「Piku(ピク)」「KAUPON(カウポン)」などもありましたが、すでにサービスを終了しています)

グルーポンモデルの優秀な点

このビジネスモデル(グルーポンモデル)が非常に優れている点は、商品を安く購入すくるため(最低販売数量を超える為)にユーザーがTwitterやFacebookなどのSNSを通じて他のユーザーに呼びかける(=拡散)する事により、自然と登録ユーザー数が増えていくというものです。

Webサービスを展開する上で一番苦労するのが、いかにユーザーを多く集めてくるかという「集客」なので、自然とユーザー数が増えていくスキームのグルーポンモデルは、非常に優れたビジネスモデルだと思います。

また、ユーザーを集めるための広告宣伝費と考えて、購入単価よりも安く販売する事で計画的にユーザーを集めることが出来るというメリットもあります。

例えば、500円で仕入れた商品を100円で販売すると400円の損失が出ますが、その400円を広告費と考えると1ユーザーを400円で獲得する事が出来ます。

商品が魅力的(価格が通常よりも大幅に安い)であればあるほど、多くのユーザーが購入するために登録しますので、実際にどれくらいの新規ユーザを獲得するか、という計画数から逆算して販売数を決めることが出来るため、非常にマーケティング的にも計画の立てやすいビジネスモデルになっています。

ただ、多くの既存ユーザーが購入する事が予想されるので、「新規購入者限定」などの制限をつける必要はあり、実際多くのクーポンサイトで、新規購入者限定で原価割れ(と思われる)商品を販売する事で多くのユーザーを集めていました。

前述した「ポンパレ」では、ハーゲンダッツのカップ2個セット(定価660円)を100円で最大100万セット販売するという「ポンパレ祭り」と題した大々的なキャンペーンを行い、最終的に36万件ほどの販売実績となっています。(ポンパレの場合は、新規限定ではありませんでしたが、チケット郵送のため住所等の登録が必要で、それがネックとなり100万件に届かなかったと言われています。)

グルーポンを含む共同購入型クーポンが下火になった3つの理由

ビジネスモデルとしては優秀な共同購入型クーポンが下火になったのは、主に下記の3つの理由があると思います。

1)商品購入・利用に伴うトラブルが多発した

共同購入型クーポンが不調になった理由の一つ目は、「スカスカおせち事件」に代表される、商品購入・利用に伴うトラブルが多発したことです。

「スカスカおせち事件」(2010年12月)の2か月後の2011年2月には、東京・吉祥寺のたい焼き店が販売した1,700枚のチケットのうち、未使用分の1,300枚分を店側の判断で使用停止にしました。

停止にした理由は、グルーポンからの入金が遅く、このままでは(材料費の購入など)運転資金が足りなくなり、店の存続さえ危ぶまれる状況になるため、との事でした。

お店側の事情もあると思いますが、客側からすればチケットを事前に購入して、わざわざその店舗まで出向いたにも関わらず、チケットが利用できない、という残念な結果になってしまいました。

これらの情報がSNSなどを通じて流れることにより拡散され、共同購入型クーポンへのイメージ悪化に繋がりました。(たい焼き店の件もYahoo!ニュースのTOPに取り上げられてました)

それ以外にも、「キャンセルすると現金でなくグルーポンのポイントで返金される」「店舗に予約の連絡をしても『満席です』と断られたが、別の予約サイトで見ると空いていた」など、多くの購入・使用に関するトラブルが報告され、悪いイメージを植え付ける結果となりました。

手数料が高く、購入者がリピーターにならない

下火になった理由の二番目は、手数料が高く、購入者がリピーターにならないという事があげられます。

競合サイトが乱立した後は手数料を下げた様ですが、サービス開始直後は販売価格の50%を手数料として受け取っていたと言われています。

定価1,000円の商品を例にあげると、割引率50%(半額)の商品場合、販売価格は500円となり、そこから手数料50%を引くと、店舗に入ってくるお金は250円となります。

当初グルーポンに参加している店舗の多くは飲食店でしたが、飲食店の原価率は一般的に30%と言われているので、受け取る金額が25%では、その時点で赤字が確定します。

チケット販売した店舗の多くは「広告宣伝費」と割り切って参加したのだと思いますが、売れば売るほど赤字になっていくので、チケット購入者がリピーターになってくれないと元が取れませんが、リピーターになった割合は非常に低かったと言われています。

チケット購入者が、その安さに引かれて購入したのであれば、よほど良い印象が無い限り定価で再度購入しようという気にならないのも当然だと思いますし、チケット購入者の多くは「バーゲンハンター」と呼ばれる「安いものしか買わない!」という傾向のあるユーザーが多かったとも言われています。

宣伝目的で安く販売したのにリピーターになってくれず、さらに多くのグルーポンユーザーが来店する事で通常料金を払って来店してくれた人が他の店に流れてしまったという報告も上がっていて、店舗側から見ても継続してチケット販売するメリットが無く、2回目以降の販売に繋がるケースが少なかったというのも大きな理由だと思います。

他のサイトとの差別化が図れなくなった

そして下火になった理由の最後は、他のサイトとの差別化が図れなくなった事があげられます。

サービス開始当初は、掲載価格で販売するための最低販売数量が記載され、その数量を超えると実際に購入できるシステムでしたが、ユーザーにチケットを購入してもらわないとグルーポンの売上にならない事もあり、その最低販売数量が非常に低く抑えられたチケットが多くなりました。
その結果、難なくほとんどのチケットが成立し、その他のセールサイトとの差別化が出来なくなりました。

また、フラッシュマーケティングとは言いながら、販売期間が1週間~数か月に渡るものも多く、「今買わないと買えないかも」といった購入への後押しが弱くなった事と、販売期間が長期化した事により「毎日見に来ないとお得なチケットを見逃すかも」というサイトへの訪問意欲を低下した事により、サイトへの訪問頻度が下がった事が大きく影響していると思います。

この他にも様々な理由は考えられますが、グルーポンの日本撤退は、一世を風靡したマーケティング手法の一時代が終わった事の象徴でもあり、寂寥感を感じるニュースでした。

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