今回は、ソーシャルゲームの開発費が年々上がって苦しいのに止められない理由です。
3行にまとめると?
・ソーシャルゲームの開発費は年々上がってきている
・多くのソーシャルゲームでは開発費が賄えていないのが現状
・ヒット作が出れば、それまでの赤字が一気に解消するので止められない
開発費の現状
1)開発費は年々上がっていっている
ソーシャルゲームの開発費は年々上がってきています。
GREEやMobageが主流だった時代(いわゆるガラケー時代)は、1アプリ当たりの開発費は3千万円~5千万円でしたが、最近では1億円ほどかかるアプリも珍しくありません。
開発期間も5カ月~9か月ほどで開発できていたものが、1年以上かかるタイトルも多くなってきました。
この主な原因は、スマホ向けのソーシャルゲーム(ネイティブアプリ)が主流になったことがあげられます。
これまではFlashやPHPなどの開発言語で、GREEならGREEの開発規約に、MobageならMobageの開発規約に沿って、アプリを開発していれば良かったのですが、スマホはAppleのiOSとGoogleのAndroid(+Amazonのkindle fire)に分かれているため、それぞれのOS向けのアプリを開発する必要があります。(iOSは「ObjectC」、Androidは「java」ベースのため、両OSでアプリを配信しようとすると、それぞれ違う開発言語でのアプリ制作が必要になります)
またスマホのスペックが進化した事により、よりリッチな表現をすることができるようになりました。
そのため、より綺麗な画像にするための開発期間が長くなったことや、キャラクターボイスなどの社外に委託する必要のある機能の追加などが開発費を押し上げている要因の一つになります。
2)多くのソーシャルゲームでは開発費が賄えていない状況
多くのソーシャルゲームでは、売り上げで運営費どころか開発費が賄えず、赤字に陥っているアプリが多数あります。
仮に月1,000万円の売り上げがあったとすると、1年で1億2千万円。
開発費が1億円だとすると10カ月で開発費の元が取れる!
とはなりません。
1,000万円の売り上げのうち、最初に30%をAppleもしくはGoogleに手数料として取られてしまいます。
そのため実際に手元に入るのは700万円。
さらにそこからサーバー代や運営担当の人件費などを仮に300万円だとすると残りは400万円。
そうすると1億円の開発費の場合、25か月(2年以上!)たたないと元が取れない計算です。
※最近のソーシャルゲームで1年以上運営が続いているタイトルは、それほど多くありません。。。
3)ヒット作が出れば、一気に赤字が解消するので止められない
しかしソーシャルゲームのメリットとして、「当たれば大きい」というのがあります。
一番顕著な例では、SNSサービスの「mixi」があります。
「モンスターストライク」が大ヒットする前のmixiは、SNSサービス「mixi」でのマネタイズがうまくいかず、株式上場してから業績は下降の一途をたどっていました。
しかし、「モンスターストライク」のヒットにより、それまでの経営不振は一気に解消し、株価も右肩上がりで上がって行きました。
下記がmixiの株価の推移ですが、モンストのiOS版が2013年9月配信なので下記の赤マルの箇所になります。(わかりやすっ!!)
Yahoo!ファイナンスより
この例からも分かるように、ソーシャルゲームは1つヒット作が出ると、それまでの経営不振などは一気に吹き飛んでしまいます。
その経験から、なかなかソーシャルゲーム開発から離れられない開発会社が多数あります。
まとめ
ソーシャルゲームを運営していくには、開発費以外にも「運営費」が必要になります。
この運営費には、運営担当の人件費(私の給料+諸経費)やサーバーなどのインフラ費、AppleやGoogleに支払う手数料(=課金手数料、プラットフォーム手数料)が含まれます。
また、開発、運営費だけでなく、サービス開始の時や一定期間時間がたった時点でそれなりの広告を打たないと売り上げを維持することができませんので、その広告費も考えると、開発費1億円で月間売り上げが1,000万円のソーシャルゲームは、3年以上サービスを継続しないと元が取れない計算になります。
こう数値化して計算すると、本当に厳しいですね。